フランスの温泉

 


フランスの温泉

9 フランスの温泉には健康保険が適用されています


画像は、2009年にフランス パリにあるCNETh(フランス全国温泉療法施設開発評議会、以下CNETh)とAFRETH(フランス温泉療法研究協会,以下AFRETH )のオフィスにAFRETHの温泉療法科学審議会会長Dr.ロック(ISMH事務局長、ダックス国立温泉療法研究所所長、他)を取材に訪れた時のものです(Dr. ロックとお会いするのは東京、スペイン国際温泉観光展、パリと3度目)。

 

 

フランスの温泉?あまり聞いたことがないかもしれません。

2021年7月24日に、UNESCO世界文化遺産では”the Great Spas of Europe”として、ヨーロッパ7カ国11カ所が登録されました。このうち1カ所はフランスのヴィシーという温泉地です。

EUの協定でヨーロッパで温泉がある国は、健康保険を適用することになっています。但し、その適用内容は国により様々とのこと。

 

一般社団法人日仏温泉・タラソテラピー・文化振興会SPALOHAS俱楽部(以下SPALOHAS倶楽部)は、2002年頃からフランスの温泉療法やタラソテラピーの研究をはじめて、日本で初めてフランスの温泉療法と健康保険の仕組みをご紹介させていただきました。健康保険の話が目的ではありません。「フランスの温泉」を語る為に最も基本である健康保険の概要と最近の温泉療法研究をご紹介しなければ、先に進めないかったからです。フランスでは、同時に温泉療法で培われたノウハウを用いて「予防医学」の視点から病気でない方々へ「温泉スパ」としても市場のニーズに合わせた形で提供しています。

               

               フランスの温泉療法と健康保険の概要    

              

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                     画像:CNTEhの専務理事Mr.ブービエ氏を取材した時のもの。

CNEThの理事で経済学者でもあるブービエ氏(上の写真)を訪ねた時に、最新のフランスの温泉療法の研究結果などを教えていただきました。また、数々の日本で実施してきたセミナー等の資料も毎回丁寧に分かりやすくご紹介してくださっています。

フランスの場合は、12の病症を対象に健康保険が適用されます。勿論、医師の診断書や同じ温泉地に滞在するなど条件があります。「軽度のウツ病、不安症」や、「乳がん全摘術後の心と身体のケア」、「肥満症」や「変形膝関節症」なども温泉療法の治療をおこなっています。ある種の病症では、完治は難しく薬に頼るものがあり、徐々に投薬量が増えたり、より強い薬の投与をおこなうものがあると思います。例えば、ある番組でリウマチの女性の紹介をしていましたが、徐々に薬が強くなり薬代だけでも月々15万円も掛かるとのことですし、将来的な日常生活や経済面の不安が増すといった内容でした。

フランスの温泉療法の治療で最も多いのは「リウマチ系」(変形膝関節症なども含む)で、完治が目的というよりも、投薬量を減らしたり、日々の生活の質を向上することにあるようです。健康保険的には、非常に料金が安く済み(およそ18日間で約500€)、同時に温泉地に3週間も滞在するので、「生活習慣病の予防」や「温泉地の経済効果」、「雇用の確保」まで全てを視野に入れておこなっているとのことです(Dax市市長取材記事へ)。日本には3,000カ所もある温泉地。そのうちの1カ所でもリウマチの患者さんが骨休めを兼ねた温泉療法の場ができて、しばし、いろいろな不安から解放されて、減薬できたら。保険適用はなくても、温泉大国日本ならではの新しい仕組みができたら、多くの社会問題の解決のほんの少しでも一役を担えるように思います。

 

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             画像:ミネラルウォーターコントレックスの取水地にあるテルメ

            

            予防医学の視点で温泉スパの普及へ           

医療で行われる温泉療法の施術をベースに、信頼できる温泉スパとして病気でない人のリラクゼーションにも利用されています。日本と同様に少子高齢化による健康保険の赤字も悩ましく、予防医学の観点からも、滞在中に適度な楽しい運動や健康的な食事の提供も心掛けています。

既に2006年頃から(SPALOHAS倶楽部の前身時代から)多くの場で日本の温泉療法や温泉の専門家の方々へ正確な情報としてご紹介して参りました。フランスのCNEThやAFRETH はじめ、多くの温泉地や施設の皆さまが心よく取材に応じてくださったことへの感謝と、同時に、日本の温泉療法医の先生方や温泉関連の専門団体の皆さまが、多大な興味を示してくださり、多くのご質問もいただき、2016年にはフランス温泉視察も実現できました(フランス温泉視察旅行記へ 記事準備中)、こうした日仏間の温泉ウェルネス交流を、今後は一層具体的な形で進めて参ります。

 

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         画像:2013ウツ病などの温泉療法を実施するソージョン市のテルメにて

 

日本とはあまりにも違うフランスの温泉。SPALOHAS俱楽部のHP「フランスの温泉」の各温泉地紹介をご参照いただくことで、少しずつ、フランスの温泉イメージを確立していただけたらと思っています。  

 

 

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          画像:ダックス市 アフュージョン・マッサージ 

 

日本には約3,000ヵ所も温泉地があり(フランスは僅か約89ヵ所)、年間約1億3千万泊(環境省)もする温泉好きの文化があります。勿論、健康保険の適用は少子高齢化が著しい日本で実現するのは不可能と思いますが、例えば東西に一カ所ずつなど、リウマチの方が年に一度は数泊して思いっきり温泉療法を受けて、減薬に繋げられるような仕組みができたら!または、企業の健康経営事業所などの仕組みを活用して、3,000カ所のうち、10カ所でも、重症化しない前に思いっきりリラックスして楽しい仕掛けが沢山ある温泉地ができたら、予防医学として十分成立するように思います。皆さまはどう思われますでしょうか?

 

SPALOHAS倶楽部は、フランスの温泉やタラソテラピーのウェルビーイングな取り組みを長年取材するなかで、よく「日本」が登場していることにも注目しました!それは「日本食」であったり、「ネーミング」だったり、「おしぼり」屋さんまで出現しています!日本のウェルネスの場では、本格的な日本文化を活かした日本型のスパやウェルネスなあり方が求められていることを確信しています。

 

大分県豊後高田市が地方創生推進交付金(内閣府)を活用した「パーフェクトビーチ・里海ヘルスツーリズム」事業のソフト面(ウェルビーイング・ウェルネスツーリズム面
で「女性が活躍する21世紀の湯治場」(海風タラソテラピー)を実施しました(2016-2020年度)。これは、前述の日本の文化を活かしたウェルビーイングな仕組みを構築したものです。

2021年4月からは、本事業に参加し支えてくださった国東半島の女性13人が作る団体「花の岬」が、事業を継続してくださっています。コロナ禍が難しい中、5年間で構築した地域女性陣のネットワークにより、予約が増えているとのことです。ご興味のある方は公式ブログをご覧ください:

女性が輝く湯治場づくり 「海風タラソテラピー」が完成しました 1「海辺で楽しく運動」編 | 一般社団法人日仏温泉・タラソテラピー・文化振興会SPALOHAS倶楽部

  例:日本の夕陽百選真玉海岸(大分県豊後高田市)干潟に夕陽が沈む特別な日におこなうサンセットヨガ

 例:チームラボの初期に建てられた真玉海岸の向いにあるチームラボ・ギャラリーでヨガ(雨天の時などこちらで実施)

 

フランスの温泉と健康保険に関しては、多くの場でご紹介して参りました。主なセミナー等は次のとおりです:「世界温泉サミット 健康・美容分科会」2018年、日本温泉物理医学会別府総会ランチョンセミナー、健康と温泉フォーラム、日本温泉地域学会、大分県温泉ウェルネス研究会、豊後高田市、エノスパ(健康セミナー)、SPA&Wellness Japan, ハワイアンズ、大手温泉リゾート、その他多くのセミナー、また記事として掲載していただきました:日本温泉地域学会誌、日本温泉気候物理医学会学会誌、観光経済新聞、Diet&Beauty誌、SPA&Treatment誌(休刊)、フランスのエステ・スパ専門紙の日本語版など。「日本の温泉」に関しましては、フランスの専門紙AQUAEへ記事複数掲載され、当HPのフランス語と英語版、Facebook等で発信を始めました。

フランスの温泉療法と健康保険、温泉やタラソテラピーの旅に関する執筆のご依頼など、お気軽に直接次のフォーマットからご連絡ください:お問い合わせ | 一般社団法人日仏温泉・タラソテラピー・文化振興会SPALOHAS倶楽部へ 

また、簡単な引用については、いかなる媒体に掲載されていても、必ず(出典;CNETh/一般社団法人日仏温泉・タラソテラピー・文化振興会SPALOHAS俱楽部)と入れて下さい。著作権などはこちらをご覧ください:ご利用規約 | 一般社団法人日仏温泉・タラソテラピー・文化振興会SPALOHAS倶楽部

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